副反応と有害事象について

院長です。
ワクチンの接種により体に免疫反応が起こりますが、これ以外の反応(発熱や接種部位の腫れなど)が発生することがあり、これを「副反応」といいます(薬による場合は「副作用」といいます)。一方で、ワクチン接種後に起こった医療上のすべての好ましくない事象のことを、有害事象といいます。共にワクチン接種後に起こるものですが、副反応とワクチン接種との間には因果関係がありますが、有害事象はワクチン接種との因果関係の有無は問いません。有害事象にはワクチン接種後に偶然起こったことなど、他の原因によるものもすべて含まれています。

厚生労働省は、ワクチン接種後に起こった事象のなかで副反応ではないかと疑われるあらゆるものを、有害事象として報告を求めています。このようにして集められた事象を検討することで、これまでに分かっていなかった副反応を見つけることができるのです。

新型コロナワクチンの接種が始まり、その副反応に注目が集まっています。報道されているものは、副反応の中でもアナフィラキシーというものですが(アナフィラキシーについては改めてお伝えしたいと思っています)、これまで述べたような制度の下で集められた症例ということを知っておいていただきたいと思います。報道発表の時点では、それらの中には疑い例も含まれており、真の副反応例はその一部であるということです。  (202Ⅰ.3.14)