院長です。
夏になると、魚を食べた後にアレルギー症状を発症し受診するお子さんが多くなります。実はこの症状、本物のアレルギー症状とは言えないのです。
魚肉には、アレルギーではないのにアレルギーと同じような症状を引き起こす物質(仮性アレルゲン)が多く含まれています。仮性アレルゲンとは、アレルゲンではないにもかかわらず、その食べ物のなかに含まれるいくつかの化学物質により、食べると食物アレルギーのような症状が出る食物をいいます。魚を食べた後のアレルギー症状の中に、ヒスタミンという物質によって起こるものがあることが分かっています。
マグロ、ブリ、カツオ、カジキ、サバ、イワシなどの青魚(赤身の魚)には、白身魚よりもヒスチジンというアミノ酸が多く含まれています。これらの魚を常温に放置するなど不適切な管理が行われた結果、魚の筋肉にいる細菌が増殖し、この細菌によってヒスチジンからヒスタミンが生成されます。 ヒスタミンを多く含む魚やその加工品を食べることにより、アレルギー様のヒスタミン食中毒を発症することがあるのです。ヒスタミンは熱に安定であることから、一度生成されると焼き物や揚げ物などの加熱調理済みの食品であっても、冷凍したものであっても、食中毒が発生します。
ヒスタミンによる食中毒は、原因となる魚を食べてから10分から90分以内に、唇や口の中のピリピリ感、かゆみ、腫れ、同様に咽喉やさらには全身の皮膚にまでかゆみ、赤み、じんましんが出たりします。また、動悸、頭痛、めまいなどを起こすことがあります。ほとんどは3~36時間以内に良くなりますが、まれにショックを起こすこともあります。

内閣府食品安全委員会ファクトシートで、以下のように注意喚起されています。特にこれからの季節、十分に気をつけましょう。

【ヒスタミンによる食中毒の予防法】
(1)魚を保存する場合は、速やかに冷蔵・冷凍し、常温での放置時間を最小限とする衛生管理を徹底 すること。
 (2)ひとたび蓄積されたヒスタミンは加熱をしても分解しないため、鮮度が低下した恐れのある魚は食べないこと。
 (3)ヒスタミンが高濃度に蓄積されている食品を口に入れたときに唇や舌先に通常と異なる刺激を感じる場合があり、その場合は食べずに処分すること。