新型コロナウイルス感染症について②

院長です。今回は、新型コロナウイルスの感染予防策についてお伝えしたいと思います。

基本的な事柄について、①厚生労働省から出されている感染対策に関するパンフレット(感染対策の基礎知識 厚生労働省)、②首相官邸のホームページの情報(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html)、を参照ください。

感染対策の基本的な考え方として、①に記載されている「標準予防策」があります。これは、感染症の有無にかかわらず、すべての人の汗を除く体液、血液、排泄物、損傷した皮膚、及び粘膜には感染性があると考えて扱うというもので、手指衛生はその基本です。標準予防策に加えて行われるのが「感染経路別予防策」で、感染性の強い病原体や疫学的に重要な病原体に感染・保菌している患者に対し、それぞれの感染経路を遮断するために行われるものです。感染経路には、長時間空中を浮遊する飛沫核が気流により室内および遠方に広がって伝播される「空気感染」、咳やくしゃみ・会話などで飛沫を通じて伝播される「飛沫感染」、直接接触もしくは間接接触によって伝播する「接触感染」があります。新型コロナウイルスは、②にあるように「飛沫感染」「接触感染」により感染すると考えられています。したがって重要な感染対策としては、「手洗い」と「咳エチケット」が挙げられます。
具体的な手洗いの方法については、①と②それぞれに示されている通りですが、コロナウイルスの特徴から、アルコール(エタノール)含有消毒薬による手指消毒も効果的とされています。重要なポイントとして、流水による手洗いの場合は、十分な時間(一般的には20秒以上)をかけて洗うことです。アルコール含有消毒薬による手指消毒の場合は、薬剤の説明書きにある通りの薬液量を手にとって示されている通りに行い、十分に乾燥させることです。
もう一つの重要な対策である「咳エチケット」ですが、①にある通り「インフルエンザ等の感染症を他人に感染させないよう、咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチを使って、口や鼻をおさえること」とされています。具体的な方法として、「マスクの着用」、「ティッシュ・ハンカチなどで鼻と口を覆う」、「とっさの時は袖や上着の内側で鼻と口を覆う」、「こまめなうがいや手洗いを行う」といったことが挙げられています。この中でよく行われるのが「マスクの着用」ですが、正しく着用することに加えて重要なことは、咳やくしゃみなどの感染症状がある人が行う時に有効な感染対策になる、ということです。②にある通り、感染症状の無い人が予防的にマスクを着用することは、混みあった場所、特に屋内や乗り物など換気が不十分な場所では一つの感染予防策と考えられますが、屋外などでは、相当混み合ってない限り、マスクを着用することによる効果はあまり認められていません。「咳やくしゃみが出たり、出そうなときはマスクをする」、「マスクが無くても、ハンカチやティッシュなどを活用して口だけではなく鼻も覆って、咳やくしゃみに備える」、「人の顔に向かって決して咳やくしゃみをしない」、「使ったティッシュは人の手が触れないように捨てる」などといったことを確実に行うことが重要です。これらのことが行われなければ、マスクの着用によっても感染が防げるとは限りません。
国内で、中国への渡航歴のない方の、新型コロナウイルス感染が確認される状況になっています。ここからはあくまでも個人的な見解ですが、上記のような感染対策が中国から日本に来られている方々に徹底されているかと言えば、とてもそのようには思えません。新型コロナウイルスについては、まだわかっていないことも多く、治療薬やワクチンは現時点ではありません。新型コロナウイルスへの感染対策として、当分の間、観光地や人が多く集まるところへの外出をできるだけ控えることも、感染対策の一つとして必要なのではないかと思っています。  (2020.1.30.)