院長です。母乳とくすりについて、前回のエントリーに少し補足させてください。
 授乳中にくすりを飲んでも大丈夫かどうか、処方された先生から授乳を中断するように言われたけれど本当にそうなのか、これまでもこのような問い合わせをたくさん受けてきています。その都度、個々の薬物について確認し、お答えしてきました。これまでに授乳を中断したほうがよい、ということは一度も経験していません。
 お母さんが病気にかかって投薬を受け、その際に医師あるいは薬剤師から授乳を中断するように指示され初めてミルクを飲ませたところ、赤ちゃんに発疹ができたために受診されるケースがこれまでにも何度かありました。くすりを投与することによって、赤ちゃんの症状はすぐに改善しました。お母さんに処方されたくすりを確認したところ、授乳を継続しても全く問題のないくすりで、すぐに授乳を再開していただきました。一方で、お母さんの服薬をきっかけに授乳を中断したために、乳汁うっ滞や乳腺炎などのおっぱいのトラブルが起き、助産院を受診された方もおられます。中には、受診された時点で母乳分泌が乏しくなっており、結果的に卒乳に至った方もおられます。
 十分な情報を提供されて上でお母さんが選択された結果であればよいのですが、十分な情報が提供されることがないまま、結果として赤ちゃんやお母さん自身のトラブルが起こったり、授乳をやめなければならないという事態が起こった場合、お母さんにとって受け入れがたい部分が残ってしまうと思います。このようなことは、ぜひとも避けなければなりません。
 過去には、いくら説明しても医薬品添付文書に記載されている通りにしか対応してくれない医師もいました。10年以上前から同じような問い合わせがあるということは、この問題については改善の兆しすらないのかもしれません。一方で、授乳中の服薬に関する情報は、最近かなり多くなっていることも事実で、インターネットを通じて一般の方もアクセスできるようになってきています。私自身の反省として、一般の方向けだけでなく同じ医療従事者へ情報を周知する努力が足りなかったと感じており、今後はさらなる情報発信を図っていきたいと考えています。
 最後に、普段利用している参考文献を以下に記します。  (2016.8.28.)

  妊娠・授乳とくすり 母乳とくすりハンドブック 母乳とくすり(水野先生)