院長です。先日来、ワクチンの不足についてはお知らせしている通りですが、今、特に問題となっているのが四種混合ワクチンです。報道などでご存知かと思いますが、四種混合ワクチンの供給不足の原因は、製造メーカーの一つである化血研がその製造にあたり(クアトロバックという製品です)、国が承認している製造方法と一部異なる方法で製造していたことがわかり、出荷が差し止められていたからでした。国がワクチンの安全性や効果などを再確認し、その結果数日前からクアトロバックの出荷が再開されました。その連絡を受け、当院でも四種混合ワクチン接種の予約受付の制限を解除したところです。しかしながら、その後も化血研が製造したクアトロバックでの接種を回避し他社のワクチン(当院でも従来から使用していたテトラビックという製品)を希望する医療機関が多いため、再びテトラビックの入手が難しくなっていることがわかりました。
 ワクチンが製造され流通するには、国家検定をパスしなければなりません。具体的には国立感染症研究所が検定を行っています(http://www.nih.go.jp/niid/ja/kentei/2071-research/safety/biologics/1574-2012-03-07-06-53-42.html)。出荷が再開されたクアトロバックについても、製造方法の一部に承認されていないところがあったにせよ、上記のような検定を経て有効性と安全性が確認されているものであることは確かであり、従来通りクアトロバックを接種しても問題はないと考えられます。
 四種混合ワクチンの接種ができない状況が続くことで懸念されるのは、百日咳の流行です。まだ免疫が十分でない乳児が罹患すると重症化することが多く、特に6か月未満では死に至る場合もあります。現状のまま推移するのであれば、百日咳に罹る子どもが増えることは十分に予想されることです。化血研の行ってきたことは許されない行為であり、その会社の製品を使いたくないという思いも十分に理解できます。しかし、国家検定という制度の存在と、百日咳の流行による子どもたちへの影響とを考えたとき、クアトロバックを従来通り採用することは十分に合理的であると考えます。
 12月9日からは、新たにスクエアキッズという四種混合ワクチンが発売されますが、それにより供給量が充足するわけありません。当院ではテトラビック、スクエアキッズに加えてクアトロバックも従来通り採用し、四種混合ワクチンの接種を行っていきたいと考えています。もちろんクアトロバックの使用を希望されない場合は、お申し出ください。できる限り他のメーカーのもので対応させていただきますが、ワクチンの供給状況によっては接種を延期していただく場合がありますので、その点ご了承いただきたいと思います。 (2015.12.6.)