先日の「小児科の先生とおはなししよう」について

院長です。少々ご報告が遅くなりましたが、12日(金)に「小児科の先生とおはなししよう」を開催しました。今回は6名のお母さんが参加くださいました。最初に私から「子どもの風邪」というテーマでお話しさせていただき、その後に様々な質問にお答えする形で、予定の1時間半があっという間に過ぎました。私がお話しした内容について、このブログで3回に分けてお伝えしたいと思います。今回は、「風邪」の一般的なことについてまとめてみます。

・風邪の主な原因はウイルスである。したがって、抗菌剤の効果はほとんどない。
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ウイルスと細菌の違い
   
ウイルス:単独では増殖できず、人の細胞の中に侵入し増殖する。細胞膜がなく人の細胞に寄生
       しているため、治療薬は少ししかない。
   
細菌  :体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、人の細胞に侵入するか、毒素を出して細
       胞を傷害する。細菌の細胞に作用、あるいは増殖を抑制する抗菌薬が有効な治療薬で、
       細菌の特性に応じたさまざまなタイプのすぐれた抗生物質と合成抗菌薬がある。
・鼻汁や鼻閉が主症状であり、咳嗽や発熱を伴うこともある。
・1年中みられる疾患であるが、特に秋~春にかけて多い。
・ウイルス感染症の発症のピークは1歳。6歳未満で約95%を占める。
・細菌感染症としては、マイコプラズマが多く、発症の平均年齢は6.4歳。
  ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン導入により、細菌による感染症の頻度は劇的に減少している。
・幼児は1年間で平均6~7回罹患し、小児の1015%は少なくとも年間12回は罹患する。
・生後1年以内に保育所に入所した小児は、家庭内だけで保育された小児よりも罹患率は50%高くなる。
・基礎疾患としてアレルギー性鼻炎や気管支喘息がある場合、低気圧の通過前に発熱なしでの朝の鼻汁・くしゃみ、夜間の鼻閉・咳を起こす。

 『風邪の大部分はウイルス感染によるものであり、抗菌剤はほとんどの場合無効である。1週間程度で自然治癒する、予後良好な疾患である。』 

以上のような内容でした。風邪で受診した際に、以前は抗菌剤が良く処方されていましたが、その必要がないことがお分かり頂けたかと思います。
次回は、風邪の主症状である「発熱」についての考え方について、お伝えしたいと思っています。     (2014.12.17.)