生後3か月を境に授乳パターンは変化します

桑原です。今日は時々相談される授乳に関することについて。赤ちゃんの授乳に関して知っておいていただきたいことを書こうと思います。

反射的哺乳、随意哺乳
生まれてすぐの赤ちゃんでも、乳首が頬に触れるとそちらの方向に顔を向け(口唇探索反射)、口の中に乳首をとらえるとリズミカルに吸い始めます(吸啜反射)。生後3ヶ月までの赤ちゃんは、これら一連の反射によりおっぱいを飲み、満腹感ではなく疲労によって哺乳を中止することが多いのです(反射的哺乳)。特にこの時期の授乳の仕方には個人差があり、もって生まれた授乳パターンがみられます。おっぱいに近づけるとすぐにおっぱいを口に含み、10-20分の間一生懸命吸い続けるタイプ。おっぱいを飲んでいる途中に、急におっぱいを放したり、泣きわめいたり、また急に吸い付いたりと、お母さんをイライラさせるタイプ。おっぱいを吸おうとせず、吸い始めたと思ってもすぐに眠ってしまうタイプ、等々。早く赤ちゃんの授乳パターンを知って、それに合わせた対応が必要になります。ひっきりなしに授乳しないといけないからといって、母乳が足りていないとは限りませんし、すぐ眠ってしまうタイプの場合は、お母さんの方で赤ちゃんを起こして飲ませないと、母乳の分泌が良好であっても授乳量の不足が起こりえます。生後3ヶ月を過ぎる頃になると、空腹感を訴え自分の意思によりおっぱいを飲み、満腹感によって哺乳を中止するようになります(随意哺乳)。このように哺乳のメカニズムは見た目には同じでも、生後3ヶ月前後を境として大きく変化することとなります。したがって生後3ヶ月までは、赤ちゃんの授乳のしかたで母乳が足りているのかどうかを判断することはできないのです。お腹いっぱい母乳を飲んだ後でも、そのままおっぱいを吸い続けることはよくあることなのです。授乳間隔については、母乳はミルクに比べて消化がいいので、1時間半から2時間くらいで胃が空っぽになります。このため、母乳だけで育っている赤ちゃんの通常の授乳回数は、1日に12回前後とミルクの場合より多めになります。また、母乳の分泌量は1日の中でも周期的に変化することが多く、一度にたくさん出る時間帯と、少ししか出ない時間帯があり、それにより授乳間隔のばらつきが起こることがよくみられます。3時間ごとに夜も昼も飲む赤ちゃんもいれば、1時間ごとに4~6回飲み、その後4~6時間まとめて眠る赤ちゃんもいるのです。

あかちゃんが出すサイン
赤ちゃんは、泣く前にいろんなサインを出しています。おっぱいが欲しいときには、以下のようなサインを出していることが多いのです。赤ちゃんが泣く前に授乳を始めることで、授乳しやすくなります。
・身体をもぞもぞと動かす
・手や足をにぎりしめる
・手を口や顔にもってくる
・おっぱいを探すような行動(探索反射)を示す
・おっぱいを吸うように口を動かす
・舌を出す
・クーとかハーというような柔らかい声を出す

赤ちゃんとの生活が始まった当初は、このようなサインになかなか気づかないもの。最初は「泣いたら授乳」でも構いません。でもよく観察すると、赤ちゃんはちゃんと意志表示をしてくれています。そういう意識で赤ちゃんと接することで、お母さんも徐々にわかってくるだろうと思います。焦らず、あわてず、お母さんもご自身のペースで始められるとよいでしょう。なかなか思うようにいかないときには、おっぱいのトラブルが原因の場合もあります。困ったことや気になることがあれば、遠慮なくご連絡ください。