子どもの眠り

 院長です。先週の金曜日に「小児科の先生とおはなししよう」を開催しました。今月のテーマは「子どもの眠り」でした。内容は、以下のようなものでした。

 ヒトの体内時計の一日は、24時間より少し長く、25時間といわれています。朝に光を浴びることで、地球の周期である24時間に合わせているのです。体温は明け方に最低となり、午後から夕方に最高となります。酸素の毒性から細胞を守るメラトニンは、朝目覚めた後14~16時間して分泌されます。成長ホルモンは寝入ってすぐの深い眠りの時期にたっぷりと分泌されます。夜になると自律神経のうち「副交感神経」が活発に働き、お腹を動かしてウンチを肛門に送り、心臓の動きはゆっくりとなって血圧は下がります。朝が近づくと一日活動するというストレスに備えステロイドホルモンが分泌され、目覚めると「副交感神経」にかわって「交感神経」が活発に動き、血圧が上がり脳や筋肉に血液が送られ、考えたり、身体を動かしたりするのに都合がよくなります。

  新生児の睡眠/覚醒サイクルがほぼ24時間周期と一致した概日リズムを示すのは、生後3か月頃とされています。新生児期の睡眠は、生物時計機構が十分に確立されていないため、昼夜の区別がなく一日を通じて睡眠が出現する多相性睡眠を示します。それぞれの睡眠エピソードは3~4時間と短いですが、1日あたりの総睡眠時間は出生時に約13~ 15時間と人生のなかでもっとも多くなります。生後1年間は脳の発達にあわせて睡眠がダイナミックに変化する時期であり、1日あたりの総睡眠時間は急速な減少を示します。夜間睡眠中の覚醒回数や日中の睡眠エピソードの出現数も同様の減少傾向が認められますが、夜間の主睡眠(最長の睡眠)の時間は大きく延長します。この生後1年間のうちに、主睡眠が夜間睡眠となる睡眠固定がみられ、生後3か月でおよそ半数、生後12か月では80~95%の乳児が夜間固定を示します。

  必要な睡眠時間には個人差があり、一概に決めることはできません。したがって、午前10時から12時にしっかり目が覚めて活動できるのであれば、その人の眠りの量、眠りの質、生活リズムには大きな問題はないと考えてかまいません。午後2時頃に眠くなるのは自然な眠気です。昼寝をすればよいのです。しかしこれにも個人差があり、昼寝はしなければならないものではありません。また、昼寝時間が長いほど、また昼寝の終了時刻が遅いほど、夜間睡眠時間が短く、夜の就寝時間が遅くなることが明らかになっています。乳幼児では、昼寝は午後3時頃を目安に切り上げ、午後の遅い時間の昼寝を避けることが、就寝時間を遅らせず、夜間に十分眠るために大切であることがわかってきています。

 寝るためには心身の疲れが必要です。つまり、昼間の活動を高めることが大切になります。生活習慣確立に大切なのは、下記のスリープヘルスの4+αといわれるものです。このことが守られているのなら、あまり睡眠時間そのものにとらわれる必要はありません。

 1.朝の光を浴びること  
 2.昼間に活動すること 
 3.夜は暗いところで休むこと 
 4.規則的な食事をとること 
 α.眠気を阻害する嗜好品(カフェイン、アルコール、ニコチン)、過剰なメディア接触を避けること

 大人の生活が夜型になりがちな現代においては難しいことかもしれませんが、子どもの眠りを確保し健やかな成長を促すためには、私たち大人がこれまで述べてきたような眠りに関する事柄を理解し、まず自らの生活習慣を生体リズムに従ったものに近づける努力が必要なのだと思います。

 年が明けて1月は、19日(金)に開催予定です。テーマは改めてお知らせします。  (2017.12.24.)